ケルト伝承の中でも最高の王の名として知られているのがアーサー王です。ローマ帝国が滅亡してからゲルマン民族に支配されるまでのブリタニアを治め、サクソン人と勇敢に戦ったとされるアーサー王は、圧政を強いられ滅びへの道を行くケルト民族にとっては希望の星でした。そしていつかケルト人を勝利に導くと信じられていました。
時は流れ、やがてアーサー王の伝承は吟遊詩人や修道士たちによって騎士物語へと発展し広まりました。ケルト人の前にアーサー王は現われませんでしたが、ケルトの魂は伝わったことでしょう。
ケルト人に流布していた伝説をまとめたものとして『ブルターニュ王列伝』があります。それによるとアーサー王がブリトン人を率いてアングロ・サクソン人に勝利し、やがてはローマに匹敵する大帝国を築く、というストーリーになっています。
この話は伝説なのですが、中世のイギリスでは史実だと信じていた人も多くいました。